プリーストリー「夜の来訪者」

ある裕福な家庭である夜。娘の婚約パーティが行われているところに、警部と名乗る男が「今日、ある若い女性が消毒剤の飲んで自殺しました」とやってくる。当初は、全く自分たちとは関係ないと思われた、若い女性についての話を聞いているうちに、家族のそれぞれが、少なからず関係を持っていることが明らかになってくる。はたしてその若い女性を自死においやった原因とは?
そんな感じでどんどん、家族と若い女性との関係が明らかになっていくシーンは、なかなかの緊張感で非常に読ませる。この本は戯曲であるため、基本的には情景の描写に乏しい。しかしながら、少ない情報から読者は情景を想像するしかないために、地の文があるよりは、より大きく想像力を働かせることができるのではないかと思う。
オチは途中から予想可能であるが、やはりここに書くべきではないと思うので、書かない。するっと読めて、ギクッとさせられるなかなかの高著ではないだろうか。
時代的・政治的な背景がわかる当時・当地の人たちには、かなり強烈な印象を残した作家なのだろうと想像した。

水上悟志「サイコスタッフ」

水上悟志を読み始めたのは、「惑星のさみだれ」がどこかで紹介されていたのがきっかけ。まあ、普通に面白いと思って読み始めたのだけれど、「ぴよぴよ」(YOUNG KING COMICS/少年画報社ISBN:4785927410)をアワーズ増刊で読んだ時に一気にブレイク。私の中で不動の地位(今のところ)を築いたのだ。まあ、「ぴよぴよ」のことは置いておくとして、この「サイコスタッフ」にもやられた。大変良いです。
超能力を持ちながらもひっそりと過ごしていた少年のもとに一通のラブレター。受験生として日々勉強に勤しんでいる中、小さな春の当来かと思いきや、宇宙人から超能力者軍団(?)にならないかとのスカウトだった、という出だしから始まる、ボーイ・ミーツ・ガール、かなあ。話は結構壮大で後味さわやか。水上悟志はまじめと笑いのバランスが非常に良い作家だな。これからも注目したいところ。

森博嗣「MORI LOG ACADEMY 1」

もはや本になるのか。早いなあ。表紙が羽海野チカ

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